危険なイメージがあるサーキット走行ですが、マナーやルールを守って注意して走っていれば、滅多なことで事故は起きません。しかし、バイクで猛スピードで走る以上、常に危険がつきまとうことは否定できないでしょう。そんな万一のための備えとして、ライダーが装着しているのがヘルメットリムーバーです。
ヘルメットリムーバーの役割
ヘルメットリムーバーと言われても、それほど一般には普及していないので、知らない人も少なくありません。しかし、日本モーターサイクルスポーツ協会（MFJ）公認レースでは装着が義務付けられており、サーキット走行をするライダーには必須のアイテムなのです。
ヘルメットリムーバーとは、ヘルメットの脱帽を容易にするためのアイテムです。ヘルメットの下に装着するインナータイプになっており、事故で意識を失ったライダーを救助する際に助けとなってくれます。
意識を失った状態では、ヘルメットを自力で脱ぐことができません。負傷時には早急な処置が必要ですので、救助する側が脱がせる必要があります。しかし、脊髄の損傷が疑われる場合、ヘルメットを脱がそうと体をむやみに動かすのは危険です。全身麻痺などの後遺障害が残るリスクがあります。それゆえ、意識を失った負傷者からヘルメットを脱がすには、首を動かさないように注意する必要があるのです。
緊急事態には、負傷者の首を動かさないように気をつけながら、なるべく迅速にヘルメットを脱がす必要があります。そんなときに役立つのが、ヘルメットリムーバーです。これを装着していると、首に負担をかけることなく、救助者がヘルメットを簡単に脱がせます。
ヘルメットリムーバーの開発元はアライヘルメットというメーカーで、特許も同社が取得しています。しかし、ライダーの安全のためにこれを普及させたいという思いから、他社が類似品を製造することを認めています。
汗を防ぎヘルメットの着脱を容易にするヘルメットリムーバー
安全性の観点以外にも、ヘルメットリムーバーを装着することにはメリットがあります。たとえば、ヘルメットを汗で汚さないことです。ヘルメットリムーバーは頭にすっぽり被るもので、かつ、吸湿速乾性のある素材なので、頭にかいた汗をすべて吸収してくれます。蒸れやすい夏場にも、ヘルメット自体を汗で汚さなくて済むのです。
もう一つのメリットは、ヘルメットが楽に脱げるようになることです。もともと他人がヘルメットを脱がしやすいように開発されたものですから、これは当然でしょう。ヘルメットを脱ぐ際に、耳が引っかかって痛い思いをすることがなくなります。